相続ブログ

2020年4月21日 火曜日

換価分割の課税関係

遺言執行者と相続人と受遺者
家事事件手続法は、①現物分割、②代償分割、③換価分割、を遺産分割方法と定めています。
換価分割は、金銭に換えて分割することなので、遺産の分配基準の公平性に優れているというメリットがあります。
相続財産性と換価差額
換価金銭は、相続財産そのものではないものの、金銭へと変化した相続財産なので、そのまま相続税の課税対象になります。課税価格の計算に於いては、その取得金銭の価額で計算することになるとも考えられますが、代償分割が行われた場合の代償金の課税価格の計算と同様に、換価金銭の額そのままではなく、換価した財産の相続税評価額への圧縮計算を行うことも可とされています。
遺言執行者と相続人と受遺者
換価遺言の場合、遺言執行者に管理処分権限があるものの、換価する相続財産に対して、遺言執行者に所有権があると言い切るのは難しく、また、受遺者についても、所有権を有しているとは認められず、さらに、相続人には、換価代金を換価相手から収受する権利もなく、実質的にも財産を支配する状態にはありません。また、遺言者の真意に照らしても、換価代金の分配とは別に、換価される相続財産をわざわざ相続人に帰属させる意思があるとは解しがたいところです。
不動産登記と換価分割
しかし、不動産登記の場面になると、法務局としては、遺言執行者による第三者との直接的な換価行為を認めたがらず、一度相続人に相続登記をして、その登記された相続人の名義で換価処分としての譲渡行為を行う、というような、所有権者と譲渡行為者の擬制を求めてきます。この名義擬制の登記の関係は、信託の場合の委託者、受託者、受益者の権利関係に類似しているので、信託税制と同様の課税関係になります。
不動産登記の擬制と課税関係
国税庁の照会情報では、遺産分割の調停により換価分割をすることになり、共同相続人の1人の名義に相続登記をしたうえで換価し、その後において、換価代金を分配することとした場合、それは単に換価のための便宜のものであり、贈与税の課税が問題になることはない、と解説しています。即ち、譲渡益の課税関係も、名義人ではなく、受益者に生じることになります。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月18日 土曜日

相続税の税務調査 香典帳も税務調査で見られるの?

悩ましい?お線香の上げ方の作法
 最近、喪家に弔問に伺い、お悔やみを申し上げる機会が増えました。悩ましいのはお線香の上げ方。御葬儀に参列するときは、前列の方の作法を真似れば良いのですが、後日、お伺いする際にはそういう訳にはいきません。仏式の場合、お線香の本数だけでも宗派によって次のように異なります。
(一般的なお線香の本数)
天台宗・真言宗 3本を立てる
曹洞宗・臨済宗
浄土宗・日蓮宗
1本又は2本を立てる等
浄土真宗 1本を寝かせる等

 喪家にお尋ねしても「お気持ちで結構ですので...」と気を遣われることも多いので、その時はご自身の宗派の作法でお線香を上げても失礼には当たらないようです。
 御香典の表書きも、四十九日前ならば「御霊前」、後ならば「御仏前」なのですが、浄土真宗では「御霊前」が使えない場所もあるようです(御通夜等でも「御仏前」)。宗派が不明の場合には、どの宗派でも使える「御香料」とするのが無難かもしれません。
税務調査で「香典帳」が見られる?
 一方、お線香を上げて頂く喪家の方では、葬儀に参列された方は「芳名帳」、御香典を頂いた方は「香典帳」に記しますが、相続税の税務調査では、これらを見せてほしいと言われることがあります。被相続人と関係がある金融機関や取引先が記載されているので調査の重要な資料となるからです。
同様の趣旨からご家族の電話帳の提出を求めたり、壁に掛けた金融機関のカレンダーを確認されたりすることがあります。
香典メモを破って棄てたのがバレた?
 このような資料は求められれば提出せざるを得ないのですが、その対応を相続人が誤ってしまった事例が国税不服審判所の裁決(平成28年3月)にあります。
この相続人の提出した申告書には、ある金融機関の公社債の申告漏れがあったのですが、税務調査の際に香典メモの提出が求められました。相続人の方はその金融機関が弔問の際に支払った香典5,000円の部分をメモから破り、調査官に提出したのですが、後で見つかってしまったようです。この行為が「相続財産(公社債)を隠蔽する態度」と見られ、重加算税の賦課要件に当たるかどうかが争われました。法律以前に何だかしまらない話ですね。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月15日 水曜日

死亡した月の給与の取扱い

死亡月の給与は支給期で判定
 あまり起きて欲しくないことですが、現役の会社員が亡くなった場合、給与の取扱いについては少し注意が必要です。
 死亡した方の給与は、生前働いていた期間で日割りして算出しますが、「支給期」の前に亡くなっている場合は、その月以降の給与に関しては相続税の課税対象となり、所得税は課税されないため、源泉徴収は行いません。また、死亡した人の年末調整は死亡時に行いますが、源泉徴収しないということは、源泉徴収票の支払金額に含めないということですから、その点にも注意が必要です。

「支給期」は「支払日」のこと
「支給期」という言葉は聞きなれないので「給与の締め日」と思われがちですが、「給与の締め日」のことではないので注意しましょう。「支給期」とは「給与所得の収入金額の収入すべき時期」のことで、「契約又は慣習その他株主総会の決議等により支給日が定められている給与等についてはその支給日、その日が定められていないものについては実際にその支給を受けた日」と定められており、要は「支給日」のことです。
 また、資金繰りやその他の理由で、定められた支給期(=支給日)に給与が支払われず、遅滞した給与が支払われる前に死亡した場合は、その当月の支払い分は給与所得となりますので、給与所得の源泉徴収票に含めて記載する必要があります。

社会保険料の扱いは?
 社会保険料は所得税の扱いとは異なり、翌月末日が支払い期限で、「月末時点に在籍していればその月の社会保険料がかかる」という仕組みなので、当月締め・翌月払いの給与体系の場合は、死亡のタイミングにもよりますが、死亡後の給与からも天引きする場合もありますから、注意が必要です。
なお、雇用保険料は日割り計算です。社会保険料と混同しないように気をつけましょう。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月13日 月曜日

コンビニやファミレスで利用 事業用定期借地権の評価

コンビニ等のロードサイド型事業で利用
 事業用定期借地権とは、事業用建物の所有目的に限定された定期借地権です。コンビニエンスストアや、ファミリーレストラン、スーパーなどロードサイド型の外食店舗・量販店などで利用されています。
 これらの店舗等は建築費が安く、出店・撤退を頻繁に行うため、短期投資型ビジネスとしての利用が想定されていました。そのため、この借地権の存続期間は、当初「10年以上20年以下」とされていました。
現在では、不動産の流動化・証券化が進んだことで、事業用定期借地権の大型商業施設や物流センターの利用例(長期投資型ビジネス)も出てきたことから、法改正を経て、存続期間が「短期型」と「長期型」の2つのタイプに区分されています。
(事業用定期借地権)
  短期型  長期型
借地権の
存続期間 
10年以上
30年未満 
30年以上
50年未満
契約更新
再築による延長
建物買取請求 
なし  あり(特約で
排除可)

 なお、事業用定期借地権の設定契約は、公正証書により行わなければなりません。
事業用定期借地権の評価
 定期借地権は、原則として更新や期間延長がなく、土地を更地で返還することから、契約期間終了時には借地人に帰属する価値はゼロとなります。事業用定期借地権の評価は、他の定期借地権と同様に、課税上の弊害がない限り、次の算式による簡便法評価が認められています。
(自用地価額)×(定期借地権割合)
×(逓減率)
(定期借地権割合)
設定時の経済的利益/設定時の通常の価額
(逓減率)※基準年利率ベース
残存年数に応ずる複利年金現価率
/設定期間に応ずる複利年金現価率
事業用借地権の目的とされる宅地の評価
 事業用定期借地権の目的とされる宅地の評価は、一般的定期借地権の目的とされる宅地と異なり、底地割合を用いず、次の算式により評価します。
次の①と②のいずれか低い金額
① 自用地価額-定期借地権の評価額
② 自用地価額×残存期間に応ずる割合

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月12日 日曜日

借名預金と言われて

相続税の税務調査
 相続税の調査では、相続人名義の預貯金が、亡くなった被相続人のものではないかとの指摘を受けることがよくあります。

納税者の主張
 納税者の主張はよく聞くセリフです。
 妻は婚姻後、被相続人了解のもと生活費をやりくりして紡ぎ出したヘソクリを貯め、自らの能力で運用等を行っていたのだから、妻に帰属する財産である。
 子名義の預貯金は、子供の頃のお年玉や親戚からの祝儀等と、社会人となった後毎月、生活費として家計に入れていた金員が原資であるから、子に帰属する財産である。

税務署の主張
 税務署の主張もよく聞くセリフです。
 被相続人が記載した名義人ごとの預貯金残高表の記録をみると、被相続人の日記帳の筆跡と同一であり、被相続人が預貯金全体を掌握し、支配下に置いていたと判断するのが相当である。
 子名義の預貯金には、被相続人の退職手当を原資として形成されたと考えられるものや被相続人の筆跡により預け入れられたものがあり、被相続人の預貯金と子の預貯金相互間で名義書換や同一日に取引している事実もある。
 被相続人からの贈与との主張も、贈与の意思の証明が不明であり、贈与税の申告書を提出した事実もない。

国税不服審判所の判断
 審判所の裁決も定番ものでした。
 妻は婚姻時に持参金がない上、夫婦間において、家庭生活を妻に委任し、その費用
を妻に渡すことや一定の預貯金の管理運用を妻に任せることはあり得ることであり、その事実をもっていわゆるヘソクリが任された妻の財産になるわけではない。
 仮に妻が自らの稼得を、仮に子が家計に入れた資金を、全て預貯金としたとしても、名義預貯金の原資に足らず、不合理な主張といわざるを得ない。
 また、贈与税の申告書の提出もしていないのであるから妻子に受贈の意思があったと認めることも出来ない。

学ぶこと
 あとからケチを付けられるのは気分がよくありません。預金の出し入れは必ず本人筆跡ですること、預貯金管理は筆跡のないパソコンですること、贈与税の申告は毎年110 万円ずつ行うこと、など留意点です。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月10日 金曜日

国税のコロナウイルス対応

確定申告期限が延長された本年
 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。所得税・贈与税の申告期限は1か月延長となりました。その他の税の手続きを延長できる制度にも、変更が加えられている部分があります。横断的に見てみましょう。

今般の感染症=災害
 新型コロナウイルス感染症に関しては、これまでの災害時のような資産への損害・帳簿等の消失といった直接的な被害は生じていないものの、患者になった、あるいは濃厚接触者になり外出自粛等の要請が行われるなど、「自己の責めに帰さない理由」があるため、従来の法人税等の申告期限延長の申請理由の他に、以下のようなケースでも申請が認められます。
①税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含む)が感染症になった
②納税者や経理責任者が外国に滞在中で、入出国制限にかかり戻ってこられない
③経理担当者等が感染及び感染対策で休暇を取っている
④感染防止のため株主総会の開催時期を遅らせた
⑤納税者が保健所や医療機関等から外出自粛の要請を受けた

相続税の申告期限の延長
 新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより、相続税の申告期限までに申告できない場合については、個別の申請で期限等が延長される場合があります。ただし、個別の申請で延長されるのは、その申請を行った方のみとなります。他の相続人等の申告期限等は延長されませんから、「ウイルス関連で相続の話し合いができない」等の事態に陥った場合は、相続人全員分の申請を忘れないようにしましょう。

納税の猶予にも感染症事由が適用
 事業の損失等で国税を納付できない場合、最大1年間の分割納付が受けられる「納税の猶予」制度があり、感染症を事由に受けられるケースがあると国税庁は公表しています。また、本来は納税の猶予に担保の提供が必要ですが、今般の感染症の影響である場合は、担保は不要としています。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月 7日 火曜日

令和2年 税制改正 資産課税

所有者不明土地等に係る措置(固定資産税)
土地・家屋の固定資産税は、原則として土地の「所有者」(登記簿上の所有者)に課税されますが、昨今の「所有者不明土地等」の増加に伴い、次の措置が設けられます。
(1)「現に所有している者」の申告制度化
市町村長は、その市町村内の土地・家屋について、登記簿に「所有者」として登記がされている個人が死亡している場合には、その土地・家屋を「現に所有している者」(現所有者)に、条例で定めるところにより、賦課徴収に必要な事項を申告させることができることとなりました。
(2)所有者不明土地等の「使用者」に課税
市町村は、調査を尽くしてもなお固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合には、その「使用者」を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、固定資産税を課することができることとされました。
国外財産調書制度等の見直し(相続税等)
(1)相続直後の調書等への記載の柔軟化
相続開始年の年末に有する国外財産に係る国外財産調書については、相続・遺贈により取得した国外財産(相続国外財産)は記載しないで提出できるようになりました。
(2)提出がない場合等の加算税等の見直し
 国外財産調書の提出がない場合の過少申告加算税の加重措置の適用対象に、相続国外財産に対する相続税の修正申告等があった場合等が追加されました。
 また、国外財産調書に記載すべき国外財産に関する書類の提示・提出がない場合の加算税の軽減措置・加重措置の特例が創設されました。
その他の改正(相続税・贈与税)
(1)農地等の納税猶予制度の対象拡大
特例適用農地等の範囲に、三大都市圏の特定市の市街化区域内に所在する農地で、地区計画農地保全条例(仮称)により制限を受ける一定の地区計画の区域内に所在するものが追加されます。
(2)医業継続に係る納税猶予制度の延長
適用期限が3年延長されます。
(3)相続税の物納の特例の対象拡大
適用対象となる登録美術品の範囲に制作者が生存中である美術品のうち一定のものが追加されます。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月 7日 火曜日

相続時精算課税と暦年贈与

相続税対策の一つとして、生前に財産を贈与する際、2,500万円控除の「相続時精算課税制度」と、年110万円控除の「暦年贈与」を、皆さんはどのように比較検討されていますか?
今回は、相続時精算課税制度の特徴とメリット・デメリットをまとめました。
相続時精算課税とは
 まず相続時精算課税とは、財産をあげる人が60歳以上、財産をもらう人が20歳以上で、一定の直系親族の関係である場合に2,500万円までは贈与税がかからない、という制度です。2,500万円を超える部分については、一律20%の贈与税がかかります。
特徴 ≒ 注意点!?
 その名の通り、相続時に精算するのが「相続時精算課税制度」。この制度を適用して生前に贈与でもらった財産は、相続が起きたときに、相続でもらったものとみなして相続税の計算に入れます。そして最大の特徴は、この制度を適用すると途中で撤回できない、ということです。
相続時精算課税と暦年贈与は選択適用
 相続時精算課税と暦年贈与は、併用はできません。一度、相続時精算課税制度を適用する届出書を提出すると、生涯にわたり、その制度を適用することになり、暦年贈与に戻ることはできません。財産をあげた人ともらった人の組み合わせにつき、一生涯のうち2,500万円までは贈与税がかからないのが、相続時精算課税制度。これに対し暦年贈与は、もらった人につき毎年110万円までは贈与税がかかりません。
相続時精算課税のメリット・デメリット
 相続時精算課税のメリットは、相続税の計算の際、贈与時の価額で計算をするため、株式などの将来値上がりするものに対しては生前対策として有効なことです。また収益物件であれば、贈与後は財産をもらった人の収益になるので、生前対策の一つに使えます。住宅資金贈与の非課税枠と併用する方法もあり、一度に多額の贈与をする場合にはメリットがあります。
 デメリットとして、暦年贈与は相続開始前3年以内の贈与でない限り相続税の計算に入れる必要はないのに対し、相続時精算課税でもらった贈与財産は相続税の計算に必ず入れる必要があります。相続時に物納や小規模宅地等の特例が使えないなどのデメリットもあります。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月 6日 月曜日

老人ホーム入居一時金の贈与

夫婦間での生活費のやり取りと税金
  贈与税の非課税規定において、「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産の
うち通常必要と認められるものは非課税とする」と定められています。
夫婦間での生活費のやり取りは、当たり前に税金など意識せずに行っております。
不動産や多額の資金の移動の原則と特例
扶養義務を果たすためとはいえ、生活費はその都度負担が原則で、多額の金銭を子供名義の預金に一括で振り込むとかの現金の移動は、課税贈与行為と通達されています。生活用不動産の共有化も、非課税の範囲を超える贈与行為となります。
とはいえ、世の中の変化に対応して税制も、居住用不動産又はその取得資金の配偶者間贈与、教育資金、結婚・子育て資金、住宅取得資金の直系尊属からの一括贈与、を可能にするような特例措置が講じられてき ています。
老人ホーム入居金は不動産的で一括だが
老齢化社会になり、老人ホームへ入居する際の入居金の一時払いを扶養義務者が負担する、という場合はどうでしょうか。
終身居住権を確保するためなので、性格は不動産の取得性を帯び、月々償却費消さ れていく前払金的性格を有し、元本の提供に近いような性格を有するものの、通常の生活を維持するための生活保持義務の履行でもあり、贈与税課税は憚られそうです。
老人ホーム入居資金提供扶養義務者の死亡時に、一時払い入居金の未償却部分が算定し得る、としてなされた相続税の更正処分は、審判所の裁決で課税否認とされている事例があります。
課税とされた事例もあるが
ネットで検索しただけで、有料老人ホー ムへの入居一時金が数億円というものの存在も確認されます。
老人ホーム入居一時金が 1.3 億円という 事例では、3年内贈与に該当するとして、 贈与課税されて、最高裁まで争っています が、納税者敗訴となっています。
生活維持費は各人各様なので、単純に金 額水準だけで、可否判定はしにくいし、入居一時金支払時の贈与というのも担税力や課税実務の実態にそぐわないし、資金支払者死亡時の未償却金の認定も計算上の数字に過ぎず、小規模宅地特例や居住不動産贈与の配偶者非課税特例とのバランスも考慮されるべき、と思われます。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月 5日 日曜日

どちらが正しい? 「一丁目」と「1丁目」

よく聞く「一丁目一番地」
 政治家が「一丁目一番地」という言葉を口にするのをよく耳にします。意味としては、「一等地」というより、「最優先事項」として用いられているようです。「一」「一」とリズムが良いので、スローガンとして使いやすいのかもしれません。
 また、昭和32年から40年にかけて、NHKラジオで放送されたドラマ「一丁目一番地」の明るい主題歌を思い出された方もいるかもしれません。若き日の黒柳徹子さんが出演されていました。
「一丁目」と「1丁目」どちらが正しい?
 さて、この「一丁目」。漢数字で書くのが正しいのか、算用数字(アラビア数字)で書くのが正しいのか悩まれたことはありませんか? 「地番」「本籍」「住所」のどれを記載するかにもよりますが、「住所」でいえば、実は「一丁目」と漢数字で表記されるものは、「住居表示に関する法律」(昭和37年施行)に基くもので、町名の一部(固有名詞)なのです。
 住居表示には、「街区方式」と「道路方式」の二つの方法があり、多くの自治体は「街区方式」を採用しています。この場合、「街区符号」と「住居番号」で住所を表示することとしています(町名は漢数字、街区符号・住居番号は算用数字が用いられます)。
町名    〇〇一丁目
街区符号  1番
住居番号  1号
算用数字で表記されるケースとは?
 ただ、この住居表示の実施状況は市町村でもまちまちです。そのため、住居表示未実施の地区は、上記と表記が異なります。
この場合、地番を住所として扱うことが多いのですが、地番でなく住所を表すことを示すため「番地」と表現されます(「号」は使用しません)。
たとえば、横浜市の場合、古くから開発されていた都心部は、「住居表示に関する法律」以前に土地区画整理などで字界字名変更が行われた際に設置された字名を用いているため、算用数字で表記します。
【横浜市の場合】
町名   〇〇
字丁目  1丁目
番地   1番地

どちらにしても、住民基本台帳法などの「特例扱い」で、算用数字で表現しても構わないこととなっていますので、市役所から発行される住民票などは算用数字で表示されることもあります。




投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月 4日 土曜日

非課税墓地購入と債務控除

お墓も登記対象だけど非課税
 お墓も相続が開始した場合、個人所有墓地ならば、所有権移転登記を行うことになります。ただし、地目が墓地となっていると、固定資産税評価証明書上<非課税>となり、評価額欄には金額記載がないことになり、登録免許税法でも墳墓地に関する登記の非課税という規定により、課税されません。不動産取得税もお墓については非課税条項があり、課税されません。
お墓を含めた祭祀財産の非課税
 民法897条は、祭祀財産について他の財産と切り離し、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する、としています。系譜、祭具及び墳墓がこれに該当するものとされており、相続税法では、相続税の非課税財産とされています。一般の家庭での祭具・墳墓は仏壇・お墓です。
仏壇・お墓を買って相続税節税
仏壇・お墓は非課税財産なのだから、相続後に購入するのではなく、相続開始前に購入しておけば、相続財産の現金預金が減り、相続税の節税になる、ということは一般に知られていることです。
ひも付き債務の債務控除
 それならばと、金融機関からお金を借りたり、ローンを組んだりして、仏壇とお墓を買っておく、との思い付きも湧くかもしれませんが、その場合の借入金・未払金は債務控除の対象になりません。相続税非課税財産の取得・維持・管理のために支出する資金の調達のための借入金・未払金は債務控除対象外と相続税法で明記されているところなので、節税プランにはなりません。ひも付き関係が明らかな借入金・未払金のみ債務控除対象外となるというこの制度の是非はともかくとして、知っておかないと、火傷をしてしまいます。
霊園は墓地売買ではない
 ところで、戦後に造営された「○○霊園」などの名前が付いた公園墓地や、寺院や教会の造営するもののほとんどは、個人所有墓地ではなく、霊園タイプの墓地です。「分譲」などと宣伝し、墓地「売買(=譲渡)」をイメージさせていますが、ほとんどが、「永代使用権」を設定する形式になっていて、非課税の相続財産とされるものの実体は、霊園側に届出を行うのみの譲渡禁止の使用借権ということであり、契約時、相続時に、登記することはなく、当然に登録免許税や不動産取得税の非課税規定とはもとより縁がないものです。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月 3日 金曜日

e-Taxで準確定申告も可能に!

令和2年1月6日以降に提出される令和2年分以後の所得税及び復興特別所得税の準確定申告書について、e-Taxでの電子申告が可能となりました。
準確定申告とは
 所得税は暦年単位課税であり、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を翌年の2月16日から3月15日までの間に申告・納税をします。
 ただし、年の中途で死亡した場合は、その相続人等が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告・納税をします。この場合の申告を準確定申告といいます。
e-Taxで提出できるもの
①所得税及び復興特別所得税の準確定申告書(XML形式)
②死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(XML形式)
③準確定申告の確認書(PDF形式)
注意点
①相続人が2名以上いる場合で、相続人代表が、その他の相続人が受け取るべき還付金を代表して受け取る場合には、各相続人が申告内容や還付額等を確認した上で、署名・捺印した委任状が必要となりますが、これはe-Taxで提出することはできず、「書面」で提出する必要があります。
②所得税及び復興特別所得税の準確定申告書は、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーでの作成はできませんので、e-Taxソフト等を利用する必要があります。
③令和元年分以前の準確定申告書については、電子申告できません。
電子申告の効果
 平成30年度税制改正により、令和2年分以降に青色申告特別控除(65万円)の適用を受ける場合には、従前からの要件に加え、「e-Taxによる電子申告を行う」又は「電子帳簿を保存する」ことが要件とされたところでした。令和2年分以降の所得税及び復興特別所得税の準確定申告を電子申告で行うことにより、青色申告特別控除(65万円)の適用が受けられるようになります。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月 2日 木曜日

申告書等閲覧サービス

申告書等閲覧サービスとは
 申告書等閲覧サービスとは、内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、酒類業の健全な発達(財務省設置法第19条)に資するため、行政サービスとして行われているものです。法令等により制度化されているものではありませんが、国税庁の事務運営指針により運営されています。
 具体的には、納税者等が申告書等を作成するに当たり必要があると認められる場合に、納税者等が税務署等に赴いて、過去に提出した申告書や届出書等の内容を確認することができる制度です。
 正確な納税申告をするためには、過去に提出した申告書の内容と齟齬がないようにする必要がありますし、過去に提出した届出書も正確に把握していなければなりません。何十年も前に提出した届出書が現在の申告内容に影響を及ぼすことも珍しくありません。このため、納税者においては、細心の注意を持って過去の申告書や届出書を管理しなければなりません。しかし、様々な事情によりそれができなくなることもあります。そんな時にはこの制度を活用することとなります。

改正前の取り扱い
 ごく一部の例外を除き、原則として、申告書等のコピーの交付、カメラ撮影及びスキャナーによる読み取りは、認められていませんでした。このため、税務署まで赴いて閲覧した上、必要な部分を手で書き写さなければなりませんでした。申告書等閲覧サービス自体は大変有り難いサービスなのですが、この点だけは納税者や税理士にとって、なんとも不便な制度でした。
改正後の取り扱い
 本年、この事務運営指針の改正が行われ、2019年9月から取り扱いが変わりました。コピーの交付は相変わらず認められていませんが、写真撮影は認められるようになりました。ただし、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット又は携帯電話など、 その場で写真が確認できる機器に限られます。
 コピーの交付が認められないのは不満ではありますが、写真撮影が認められたのは大きな前進ですね。
 なお、申告書等の閲覧は税務代理行為に当たらないため、税理士が申告書等に添付した税務代理権限証書に基づき、納税者等に代わって閲覧することは認められず、委任状の提出が必要となることに留意する必要があります。
また、撮影する場合は、委任状に撮影を希望する旨の記載が必要であるとともに、収受印や氏名等の被覆や、対象書類以外が写り込まないようにすること等に留意する必要があります。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL

2020年4月 1日 水曜日

遺品に刀剣があった場合

父親が亡くなり、遺品の中に生前、大切にしていた刀剣が残されていた時、相続税の申告に向け、財産評価が気になります。
相続評価はどうなる
相続税法の財産評価は、時価主義を基本原則としており、書画骨とう等については、「売買実例価額」、「精通者意見価格」等を参酌して評価額を求めると規定しています。高価な美術品の場合は、美術年鑑などを参考にしてある程度は想像がつくかもしれません。古美術商など専門家に鑑定評価を依頼すれば、意見価格を知ることもできるでしょう。しかし、生前、銘品であることがはっきりしている場合を除き、ほとんどの場合、美術品としての価値があるのか調べる必要に悩むのではないでしょうか。
刀剣は銃刀法の規制を受ける
遺品に刀がある場合、財産評価の前に対処すべきことがあります。刀剣類について登録のないものは所持できないことが、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)に規定されています。刀を合法的に所持するためには、美術品として都道府県教育委員会の登録を受ける必要があり、登録のないまま家の外に持ち出すことはできません。
遺品の中から刀剣類が出てきたら、まずは、登録証の所在を確認し、登録証が見つかれば相続人に名義変更し、登録の有無がはっきりしないときは、最寄りの警察署に届け出て、都道府県教育委員会で美術品として新たに登録するか、警察に廃棄のため、引き渡すかを判断しなければなりません。
鑑定を刀剣商に相談する
Sさんは、亡き父が遺した刀剣3本(登録証あり)を警察に届け出て、錆のあった2本は廃棄のため引き渡し、装丁の綺麗な脇差1本を手許に残しました。登録証はSさんに名義変更したうえで、鑑定のため、自宅近くの刀剣専門店を訪ねました。
Sさんの先祖は茨城県の出身。水戸藩の藩士で、脇差は江戸時代後期の作品でした。保存状態が良くなく、美術品としての評価はほとんどありませんでしたが、店主はSさんのご先祖が代々、刀を大切にしてきたことを褒め、刀剣は家族の健康・職業・財産を守るため、これからも家宝としてつなぐべきことを教えてくれました。帰り道、Sさんは、自分もこの脇差を子供たちに伝えていこうと決意しました。

投稿者 内山篤税理士事務所 | 記事URL


大きな地図で見る
■所在地
〒433-8109
静岡県浜松市中区花川町171
■駐車場
3台完備
■受付時間
平日 9:00~18:00
土日・営業時間外はご相談下さい。

お問い合わせ 詳しくはこちら